「ツボ」について考えてみよう！

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2018.10.29

ツボとは？ツボの位置とは？

先週のブログ当番でした院長の佐藤です。

今回は、我々も常日頃から指先に全身全霊の注意を払って、観察しているツボについて書いていこうと思います。

ツボとは何か、どのようなものかという問いに対する答えは一つではありません。

例えば、「ツボは、病気の時に出てくるものであるから、病気ではない時にはわからないものである」という意見があります。こうした意見も一つの見方として間違いであるとは言い切れません。

それは、病的な時に、ツボとして決められている場所に強い反応が出ていることが多いので、そのように言うのでしょう。しかし、病的な表現が弱い時や普段の状態の時にもツボは捉えられます。

下肢に診られる“むくみ”などは、かなり大きな面としてとらえる事ができますから、こうした場合は単純に細かいツボを探るというのではなく、大きな範囲の反応として捉えればよいのですが、小さな点である経穴はそうはいきません。

それでは、どのようにして実際に反応を診て、治療するツボに行き着くのでしょうか？

先ず、成書に書いてあるツボの位置は一つの目安になります。例えば、三陰交という経穴であれば、内果から3寸上方で、脛骨(すねの骨の太い方)の後側で骨の際であるということになります。
しかし、3寸と一言でいっても、骨度法で測るか、同身寸法で測るか、また、それは内果の頂点から測るのか、内果の上縁からなのかで違ってきます。
さらに、骨の後縁といっても脛骨からどのくらい離れた位置なのか、疑問はいくらでもあります。

現代人は、もしかしたら非常に鈍くなってしまったのかもしれません。昔の人間は内果から3寸上と書いてあれば正確にわかったのに、現代人はそうした表現が意味する前提が分からなくなっているので、細かく3寸上で脛骨の後縁で、あるいは1センチメートル離れているとか書かなくては分からなくなってしまっているかもしれません。
古典をはじめとして文章に残っているものは、おそらく、口伝とか、実際に手から手へ、師から弟子に伝えられていったもののほんの何十分の一かのエキスの部分にすぎないと考えた方がよいでしょう。
実際には文字に残っているよりも何十倍かの微妙な細かい事柄が、臨床の現場で手から手へ伝えられていたはずです。
ただ、残念なことに、その現場で伝えられてきたものはどのようなものかはっきりせず、またあまり重視されていないのが現状です。
さて、実際の臨床では、三陰交を探すときは、内果から3寸上方で脛骨の後縁であるということを目安ににして、その付近を探すわけですが、その時に何を目標として探すのでしょうか。
「ツボ」という字は「穴」という字を書きます。「宀」(うかんむり)に「ハ」という字を書くわけです。
だから先ず、アナになっている所、すなわちくぼんでいるところ、陥凹し、へこんでいる所が第一番目の目標になります。もちろん、ツボの中には、くぼんでいないものもありますが、その話は後々。
では、くぼんでいるというのは、実際にはどのような触診上の感覚なのでしょうか？
皮膚に軽く指を置き、皮膚面にあまり圧をかけないでスーッと撫でていくと、くぼんでいるのがわかります。圧が強すぎるとよくわかりません。軽く撫でるようにさすっていくと、くぼんでいるとか、出っ張っているとかがわかりやすいです。
ところが、そのような触り方だけではわかりにくい場合もあります。その時には、目安とした場所の周り、上下左右に範囲を広げて触診し、また、一定の圧を加えてみます。
そして、皮膚面がくぼんだり、緊張していたり、また深部にすじ状のものがあるとか、何かプツプツしたものがあるとか、あるいは筋と筋との間のへこみがあるとか、あるいは筋肉が非常に突っ張っている所があるとか、その周辺で異なる感覚を指で感じて穴の位置を確認することになるわけです。
体幹部のツボも大体がそういった捉え方で取穴できると思います。