こんにちは、井口です。最近患者さんのなかでも熱中症になったという方が増えているので、ブログに書いていこうと思います。
熱中症は暑熱環境によって生じる障害の総称で、病態によって熱けいれん、熱疲労、熱射病などに分けられます。
熱けいれんは大量の汗をかいて水のみを補給した場合に起こるものでナトリウム欠乏性脱水となります。これは症状として手や足、腹筋のけいれんと筋肉痛があります。対処法としては生理食塩水を補給することです。
熱疲労は脱水によるもので、全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、頭痛などの症状が起こります。体温の上昇は目立たず、発汗が多く、血圧は下がり、頻脈、皮膚が蒼白になります。熱疲労の対処法は涼しい場所に移動し、衣服を緩めて寝る。そして水分(低張食塩水)を補給すれば回復します。吐き気などで口から水分摂取が難しいときは、点滴による補水が必要となります。
熱射病は熱中症のなかでも重度のものとされます。体温調節が破綻して起こり、高体温と種々の程度の意識障害があります。脱水が背景にあることが多く、脳肝、腎、心、肺などの全身の臓器障害、播種性血管内凝固症候群による出血を合併し、死亡率も高いです。緊急性の高いものなので冷却の処置をしながら一刻も早く集中治療のできる病院へ運ぶ必要があります。発症から40分以内に体温を下げることができれば合併症がなく、確実に救命できるといわれています。現場での冷却処置として、,水をかけて扇いだり、頚、腋下、鼠径部などの太い血管を氷などで冷やす方法がよいとされます。応答が鈍い、言動がおかしいなど、少しでも意識障害がある場合には熱射病を疑って処置をしたほうがよいです。
運動をしている方は熱中症予防のための運動指針としてWBGTというものがあります。
これは湿球温度や乾球温度によって求められます。湿球温度は27℃以上、乾球温度は35℃以上では運動は原則中止してください。
これからも暑い日が続きますが水分、塩分を摂取しましょう。